飲食店を立ち上げるとき、立地の良し悪しが、お店の明暗を分けるといっても過言ではありません。
どれだけ美味しい料理提供しても、どれだけ素晴らしいお店を作っても、物件の場所が良くないと、見つけられなかたり、客足が離れたりする原因にもなります。
そこで、飲食店を開業する際、失敗しない物件選びのポイントを紹介します。
良い物件とは?悪い物件とは?
良い物件とは、一般的に「人通りの多さ」、「駅までの距離」、「周辺の環境」が良い立地にある物件のことです。
悪い物件とはその逆。
しかし、この定義は次の「3つ選択」によって変わってきます。
①業種の選択
②ターゲットの選択
③コンセプトの選択
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①業種は何にする?
どんな業種の飲食店を開きたいかで、良い立地かどうかは変わります。
■ラーメン店、そば屋などの場合
お手軽に食べることを目的としたら、人通りの多い場所。お店が小さくても回転率が高い立地の物件が良いでしょう。
■ダイニングバー、カフェなどの場合
地域に密着した常連さんを囲い込めるようにするなら商店街や市役所などの近くの物件も探してみましょう。
■和食、フレンチレストラン、イタリアンなどの場合
レストラン系の飲食店の場合、特別高級な料亭やレストランであれば、郊外でもよいでしょう。また、気軽に入れるお店なら繁華街の物件もおすすめします。
②ターゲットは誰にする?
ターゲットによっても、良い立地の定義は変わります。
■主婦向けの場合
比較的家賃が安い、住宅街の立地も狙い目。古民家をオシャレに改装できる物件もよいでしょう。
■OLやサラリーマン向けの場合
ランチを中心に、回転率を上げれば、オフィス街の立地の物件がよいです。その代り、人通りがなくなる休日や祝日のギャップをよく吟味する必要があります。
■観光客向けの場合
観光地というメリットを生かし、観光客の動線を考えましょう。例えば、観光スポット周辺の路面店は一等地と呼ばれ、集客は見込めますが家賃は割高です。
③どんなコンセプトにする?
コンセプトはお客さまにどのようなサービスを提供したいかという、経営者側の気持ちや考えかたです。
■安い、早いがコンセプトの場合
回転率重視で、駅の近くなど人通りが多い立地の物件を選びましょう。
■高級、特別感がコンセプトの場合
喧騒を離れた一隅の、知る人ぞ知るといった隠れ家的な物件もよいでしょう。
■ファミリー向けがコンセプトの場合
比較的広さのある物件がよいでしょう。駅から離れていれば、駐車スペースはマストですが、一等地と違い出店コストは安く済みます。
物件を見極める5つの質問
上記のことを踏まえ、物件を見る際、以下の5つ質問に答えてみて下さい。
質問1 家賃は支払っていける金額ですか?
家賃は固定費です。売上の多い少ないにかかわらず一定にかかってくるので、毎月の売上見込み金額から考えます。
以下の式に当てはめてみて下さい。
「売上見込み金額(客数×客単価)」-「費用(人件費+材料費+光熱費+広告宣伝費+雑費など)」=「売り上げ見込み金額」>「家賃」
これを基本に、家賃が毎月の売上見込み金額より高くならない物件にしましょう。
質問2 夜や曜日別にも周辺環境をリサーチしましたか?
周辺の環境は、時間帯や曜日を変えてリサーチしましょう。
遊びに出かける街? 職場があり働きに来ている街? などなど、通行人がどのような心理で街を歩いているのか何度も出向いて見極めましょう。
質問3 競合店舗はありますか?
出店エリアを探す際は、競合店の有無を調べることも大切です。
もし、同じ業種のお店が全くないとすると、そこは需要がないことを意味します。かえってリスクが大きいといえます。
質問4 設備の寿命を知っていますか?
居抜きの物件はエアコンや厨房設備などが揃っている場合があります。
しかし、いつ壊れてしまうかはわかりません。製造年や汚れ、劣化なども確かめましょう。
エアコンの寿命は約10〜15年。給湯器は、10年が寿命といわれています。
買い替える場合はその費用も見積っておきましょう。
質問5 路面店にする? 空中店にする?
路面店は、通りに面した店舗のこと。多くの人の目に入るため、店舗を構えているだけで高い宣伝効果があります。
空中店とはビルの2階以上に出店する店舗のこと。
通りに面している「路面店」に比べると視認性が低くなりますが、家賃や出店コストは安く済みます。
以上、失敗しない飲食店の物件選びを紹介してきました。
失敗しない物件選びは、「3つの選択」業種・ターゲット・コンセプトをしっかりと考え、決定してから行いましょう。