事故物件と呼ばれる理由
最近、事故物件というのが話題になっています。
これは、正式には心理的瑕疵(しんりてきかし)のある物件という名称がついています。
瑕疵というのが目に見えない不具合のことを指します。
そこで、不動産物件における瑕疵というのは雨漏りやシロアリといった被害がよく挙げられます。
住んでみて初めて気付くようなものがこの瑕疵に該当するのです。
心理的瑕疵というのは、目に見える不具合ではなく精神的な負担となるものを指します。
そのため、一般的に事故物件と言われている火災での焼死者が出ていたり、マンションからの飛び降り自殺があったり、殺人事件があったりというものが該当する物件なのです。
もちろん、事件の後にはしっかりと清掃をしていて生活するにあたって支障の出るようなことはないようにされています。
しかし、事故物件に住んでいるという周囲の目が気になったり自分自身もそのような物件に住んでいるということであまり良い気持ちで過ごせず精神的に不安定な状態になるのです。
心理的瑕疵の説明義務
心理的瑕疵には「告知事項あり」「重要告知事項あり」という表記が広告にされています。
分譲の物件であれば相場に比べて300万円から1000万円ほど安く出されているために、やはりこのような表記をしなければ不信感が募ってしまうものです。
このような物件についてはきちんと入居前に説明をする義務があります。
実際に宅建業法35条1項に基づく重要事項説明の中で義務付けられています。
この重要事項説明の項目の中に心理的瑕疵も含まれており、万が一説明のないまま契約をした場合には仲介業者や貸主は告知義務違反となり損害賠償の対象となります。
心理的瑕疵の説明期間
心理的瑕疵の物件であっても時間が経過して何人かが入居をしていけば、心理的瑕疵という扱いが必要なのかという疑問が出てきます。
入居者が入れ替わるたびにクリーニングもしますし、時間が経過すればリフォームも入ります。
そのように手が加えられていけば、いつまでも他の物件と異なる家賃で貸すことや売却する方が逆に心理的瑕疵の印象を強め悪印象を与えるようにも感じるものです。
実際に、心理的瑕疵としての説明期間には具体的なルールがありません。
他の部屋についての自殺については告知義務がないとした判例もありますし、共用部分での自殺については告知が必要という判例もあります。
やはり事故や事件の規模によって社会的な影響も変わりますし精神的に負担に感じる割合も異なるために一概には言えないということなのです。
気をつけるべきなのが、心理的瑕疵となるような事件や事故から時間が経過しているために、不動産会社や貸主が心理的瑕疵物件であることを知らずに貸したり分譲したりという例もあります。
もしも内見や価格で違和感があった場合には、不動産会社に問い合わせをし、それでもわからない場合にはインターネットで調べてみることが有効です。